Tomo-e Gozen
Tomo-e Gozen (トモエゴゼン) とは東京大学木曽観測所1 105-cm シュミット望遠鏡用に開発された CMOS モザイクカメラ2です. CMOS イメージセンサの特性を活かして, 約 20 平方度の広い視野を毎秒 2 フレームで連続的にモニタリングできます. 空を動画として記録することで, 短時間で明るさが変わる天体や高速で移動する天体を捉えます. プロジェクトの詳細については公式ウェブサイトを参照してください.
Science with Video Observations
Tomo-e Gozen をもちいた研究として, 微小な地球接近小惑星の自転や, 暗い流星の明るさの分布を調べてきました. 共同研究 Beniyama et al. (2022) では, 動画観測から微小小惑星の秒単位の高速自転を調べました.
流星については, Tomo-e Gozen と MU レーダーを組み合わせた同時観測を Ohsawa et al. (2020) で報告しました. また, 試作機 Tomo-e PM による暗い散在流星の統計的な観測を Ohsawa et al. (2019) で報告しました. これらの研究の内容は Solar System で紹介しています.
Data Compression and Moving Object Detection
動画に写る移動天体を効率よく検出するために, 3 次元空間中で直線状に並ぶ点を抽出するアルゴリズム tracee を開発しました (Ohsawa 2021). 位置と時刻の情報から移動天体の短い軌跡を見つけるための手法です. 開発した関連ソフトウエアについては Data Analysis にまとめています.
動画のすべての画素をそのまま保存・解析すると, 記憶容量や計算時間の負担が大きくなります. 共同研究 Morii et al. (2017) では, 低ランク行列近似とスパース行列への分解を利用した動画データの圧縮を検討しました. 試作機の動画に適用し, 短時間の突発現象や流星の信号を保持しながら, データ量をおよそ 10 分の 1 にできることを示しました.
- Development of a Tracklet Extraction Engine (Ohsawa 2021)
- Data Compression for the Tomo-e Gozen using Low-Rank Matrix Approximation (Morii et al. 2017)
Data Acquisition and Automated Processing
Tomo-e Gozen プロジェクトでは, 主にデータの取得と解析を担う計算機システムを開発しました. 開発当時に扱っていたデータ量は最大で一晩あたり 20 TB に達しました. この膨大な動画データを処理し, 宇宙で生じる突発的な現象を迅速に発見するために, 観測と解析を自動で実行するソフトウエアシステムの開発をおこないました.
試作機の段階からリアルタイム処理に取り組み, データ処理システムの開発を Ohsawa et al. (2016) で報告しました. 装置からデータを取得する仕組みと, そこから科学的な情報を取り出す解析をつなぐことが, 広視野動画観測を継続しておこなうための重要な課題でした.
Related Links
Tomo-e Gozen のデータについてはテクニカルノートに情報をまとめています.
-
東京大学木曽観測所ウェブページ http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/kisohp/ ↩
-
広い領域の写真を一度に撮るために多数のイメージセンサを搭載したカメラのこと ↩