JASMINE
JASMINE は国立天文台と JAXA 宇宙科学研究所が推進する赤外線宇宙望遠鏡プロジェクトです. 近赤外線で星の位置と明るさの時間変化を測定し, 天の川銀河の中心領域の構造や形成史, M 型星の周りに存在する系外惑星を調べることを目指しています. 私は JASMINE の観測データから星の位置を精密に求めるための解析手法の開発に取り組んでいます.
Plate Analysis
星の位置を精密に測るには, 画像上で星の中心を求めるだけでなく, 観測装置による幾何学的な歪みや画像ごとの座標の対応を適切に扱う必要があります. この課題に対して, 基準となる星の位置情報をもちいながら, 星の座標と幾何歪みを同時に推定する手法 Plate Analysis を開発しました.
Ohsawa et al. (2025) では, この問題を確率モデルとして記述し, 確率的変分推論をもちいて多数のパラメタを効率よく推定する方法を提案しました. JASMINE の銀河中心観測を模した簡略化したシミュレーションに適用し, 3 万個を超えるパラメタを最適化して, 平均で約 \(70\,\mu\mathrm{as}\) の位置誤差が得られることを示しました. この値はシミュレーションの条件下で得られた結果であり, 実観測で達成した精度を表すものではありません.
この研究は, 基準星の情報と多数の観測画像を組み合わせて, 広い視野で高精度な相対位置天文観測を実現するための基礎となります.
Near-Infrared Astrometry
位置天文学は, 天球上での星の位置とその時間変化を精密に測定する研究分野です. 星の距離や運動を知ることで, 天の川銀河がどのような構造を持ち, どのように形成されてきたかを調べることができます. 銀河中心方向は星間ダストによる減光が強いため, 可視光よりも減光の影響が小さい近赤外線での観測が重要になります.
JASMINE の科学目標と観測構想をまとめた共同研究 Kawata et al. (2024) では, 銀河中心領域の位置天文観測と M 型星の時系列測光による系外惑星探査を紹介しています. 計画の詳細についてはプロジェクトの公式サイトを参照してください.